ネット上ではよく「LCCの利用はやめたほうがいい」や「LCCは安全性が低い」と言われていることがあります。
果たしてそれは本当のことなんでしょうか?
今回は仕事でもプライベートでもLCCを頻繁に利用する、元旅行会社社員目線でLCCにかんするネガティブな噂を掘り下げていきます。
【結論】LCCはやめたほうがいい?安全なの?
私はこれまでに仕事やプライベートでLCCを何度も利用していますが、安全に利用できています。
私がこれまでに利用したLCCは以下の通りです。
- ピーチ
- ベトジェット
- エアアジア
- ジェットスター
- セブパシフィック航空
- スクート
「LCCは欠航や遅延が多いからやめたほうがいい」と言われていますが、約10年近く利用していますが、私は一度もLCCの欠航に遭遇したことはありません。
また、遅延(フライトディレイ)も2時間以上になったことはありません。
一度、ベトジェットでベトナムから日本への帰国便が約1時間遅れになった経験はありますが、格安航空だからと言って頻繁に遅延するわけではありません。
そもそも高頻度で遅延や欠航が発生していたら、航空会社の評判が悪くなり経営が続かないので、数年以上続いているLCCは信頼性に足ると個人的に思っています。
LCCはやめたほうがいいと言われる理由5選
「LCCの利用はやめたほうがいい」と言われる背景には、いくつか理由があります。
元旅行会社社員の目線で、LCC利用のデメリットを5つピックアップしました。
LCC利用を考えている方は、ここから紹介する理由を参考にして使うべきか考えてください。
座席のスペースが少し狭い
LCCは座席のスペースが、JALやANAのフルサービスキャリアと比べて狭くなっています。
LCCでは1便あたりの収益を増やすために、フルサービスキャリアと同じ機体でも座席数を増やしています。
例を挙げると、同じ機体(A320)でも通常166席のところ、LCCの場合は180席になっていることがあります。
1便あたりの座席数が少し増えているため、その分シートピッチ(席の前後幅)も狭くなっています。
JALやANAなどのシートピッチは「79cm」、LCCのシートピッチは「74cm」と5cm狭くなっています。
しかし、身長180cmの私も普通に座れる広さなのでそこまで心配する必要はありません。
座席幅(シートの横幅)はLCCとフルサービスキャリアでも一緒です。
手荷物などの規定の厳しさ
LCCは手荷物などの規定が厳しいので、フルサービスキャリアに慣れている方からは「LCC利用はやめたほうがいい」と言われています。
多くのLCCで、手荷物の許容量が「7kg」に制限されています。
LCCの中(チェジュ航空やスクート)には「10kg」まで許可されている航空会社もあります。
手荷物サイズは、多くのLCCで「3辺の和が115cm以内」と決められています。
また、LCCの荷物重量チェックは厳しく、100gでも超えていると超過料金を支払う必要があります。
荷物が多い人や、旅行先でお土産をたくさん買う予定の方は、超過料金を払うことになり、予想以上にお金がかかった…ということになりかねません。
機内サービスが基本的に有料
LCCでは基本的に機内サービスがありません。
ANAやJALなどのフルサービスキャリアでは、ドリンクや食事の無料提供がありますが、LCCではドリンクや食事の提供が有料になっています。
機内食やドリンクの価格が割高に設定されていて、ドリンクと食事のセットは2000円~4000円することもあります。
食事だけは1000円前後、軽食やスナック菓子は500円前後が相場になっています。
LCCを利用する際は搭乗前に食事を済ませておくか、搭乗前にコンビニで食事を買っていくことをおすすめします。
座席指定が有料
LCCでは座席指定が有料になっています。
LCCではすべての座席指定が有料になっていて、指定しない場合は航空会社が自動で割り当てします。
座席指定は500円~2500円が相場になり、「前方の座席」や「足元の広い席」などの席の種類によって値段が変わります。
LCCは座席指定が有料ですが、ANAやJALなどのフルサービスキャリアは航空運賃(チケット代)に座席指定料金が含まれているので、無料で座席指定ができます。
グループ旅行でLCC利用をすると、想像以上に追加料金がかかってしまうので注意が必要です。
早朝便や深夜便が多い
LCCは早朝便や深夜便が多いです。
LCCを予約する際に「朝5時発のフライト」や「深夜24時発のフライト」を見たことはありませんか?
なぜLCCに早朝便や深夜便が多いのかというと、「空港の使用料が安い」からです。
早朝や深夜の発着便は少なく、発着量が安く設定されていることが多いです。
また、日中はフルサービスキャリアの航空会社も多く空港を利用しているので、空港が混雑しやすくなっています。
混雑に巻き込まれると遅延のリスクが高まるので、そのようなリスクを回避するために早朝や深夜のフライトが多くなっています。
LCCの種類について
「LCC=格安航空」と思っている方が多いと思いますが、LCCには「種類が2つ」あることを知っていますか?
- フルサービスキャリア傘下のLCC
- 独立系のLCC
上記の2つが存在します。
ここからはLCCの種類について解説していきます。
フルサービスキャリア傘下のLCC
フルサービスキャリア傘下のLCCは、大手航空会社(JALなど)が運営しているLCCです。
フルサービスキャリア傘下のLCCは、ブランド戦略の一環として設立され、コスパ重視の市場をターゲットにしています。
また、運営元が大手航空会社なのは最大のメリットであり、「航空ノウハウ」や「運営資金」、「最新の機体」などが豊富です。
フルサービスキャリア傘下のLCCには、ZIPAIRやジェットスタージャパン、ピーチなどがあります。
独立系のLCC
独立系のLCCは大手航空会社の支援を受けずに運営しているLCCで、より低価格を実現しています。
独自の経営戦略を持っており、定期的に格安セールを行ったり、地方航空や二次空港を利用してより航空券代を抑えることに成功しています。
独立系のLCCには、エアアジアやベトジェット、ライアンエアーなどがあります。
LCCの安全性は大丈夫?
「LCCは低コストで販売しているから安全性が心配…」と思っている方もいると思います。
ご安心ください、LCCも安全に利用できます。
航空会社の安全基準は国際民間航空機関(ICAO)が定めている航空安全の定義に基づいて定められています。
飛行機に関わるうえで、厳しい航空規制や監査はLCCにも適用されます。
世界基準の厳しい規制の下で運営されているので、LCCは危険だという考えは誤解です。
また、2024年の航空会社の安全性を評価する「エアライン・レイティングス」では、ジェットスターが最も安全なLCCで、アジア圏ではベトジェットやエアアジア、セブパシフィック航空が上位にランクインしています。
このことから、LCCの安全性は一般的な航空会社と大差なく、安全に利用できるということが分かります。
LCC利用をやめたほうがいいケース
ここまでは「LCC利用はやめたほうがいい理由」と「LCCの安全性」について解説してきました。
ここからはLCC利用をやめたほうがいいケースを3つご紹介していきます。
荷物が多い人
荷物が多い方はLCCの利用はやめたほうがいいかもしれません。
多くのLCCは手荷物が7kgまで無料で持ち込み可能ですが、少しでも超過すると追加料金が発生してしまいます。
また、LCCではチケットのグレードによって預け荷物の可否や許容量が決まっています。
一番安いプラン(ベーシックやエコノミープラン)では預け荷物は含まれていません。
LCCでもグレードの高いチケットは一般の航空会社とあまり変わらない金額になるので、荷物を預けたい人や、旅行先でお土産をたくさん買う予定の方はLCCはあまり向いていません。
機内サービスを求める人
LCCではドリンクや食事の機内サービスが有料になっています。
ドリンクや食事は割高の値段設定になっており、ドリンクや軽食は300円~500円、食事は1000円~2000円が相場になっています。
ブランケットの貸し出しも有料(約1000円)になっているので、LCCを利用する前には食事やブランケットを用意しておく必要があります。
また、LCCには映画を見れるモニターが無いことも多く、機内で楽しむコンテンツがありません。
私はひとり旅行でよくLCCを利用していますが、スマホでオフラインでも見れる動画配信サービスを利用しています。
LCC利用では「動画配信サービス」は必須のサービスなので、LCCを利用予定の方はチェックしておきましょう!
広い座席に座りたい人
LCCはシートピッチ(席の前後幅)がフルサービスキャリアよりも狭くなっています。
体の大きい方は窮屈さを感じることがあるので、長時間のフライトでLCCを利用するのはやめたほうがいいでしょう。
シートピッチが少し狭くなっているので、足を延ばしてリラックスしたり、足を組んだりすることは難しいです。
長時間同じ姿勢で座っていると疲れがたまりやすいので、飛行機の疲れを溜めたくない方はLCCの利用は辞めたほうがいいでしょう。
LCC利用がおすすめなケース
デメリットばかりに注目されがちなLCCですが、賢く使うことでコスパ良く海外旅行に行くことができます。
ここからはLCC利用が特におすすめなケースを3つご紹介していきます。
近場の海外へ行く人
近場の海外旅行を計画している方はLCCの利用が適しています。
LCCは短距離の運行に強みを持っているので、日本から近い韓国や台湾、ベトナムなどのアジア諸国へ多くの便が就航しています。
アジア圏へは搭乗時間が3~5時間なので、座席の狭さや機内サービスの少なさもそこまで気になりません。
とにかく節約したい人
LCCの最大の魅力は、何といっても「価格の安さ」です。
例えば、一般航空会社では10万円近いチケット代のところ、LCCでは3万円程度で購入できます。
さらにLCCでは割引キャンペーンを行っていることが多く、早割やセールを活用すれば、往復航空券が数千円で手に入ることもあります。
キャンペーン時期を狙って予約すれば、格安で海外旅行を楽しむことが可能です。
リュック1つで旅行をする方や、ひとり旅行で座席指定が不要な方はLCCを利用することで旅行費用を大幅に削減することができます。
時間を有効活用したい人
LCCの早朝便や深夜便を上手く利用することで、少ない日数でも海外旅行を思いっきり楽しむことができます。
たとえば、LCCの早朝便で台湾旅行へ行くと、ちょうど朝ごはんの時間帯に到着するので、到着後すぐに台湾ならではの朝ごはんから旅行をスタートできます。
帰国便を深夜にすることで、旅行の最終日を時間ギリギリまで観光に充てることができます。
短期間・短時間でも満足度の高い旅行ができるのがLCCのメリットです。
まとめ:LCC利用はやめたほうがいいと言われる理由
この記事では、ネット上でよく見られる「LCCの利用はやめたほうがいい」という意見について解説してきました。
確かに、LCCはコストダウンを重視しているため、以下の点でフルサービスキャリア(ANAやJALなど)に比べると不便を感じてしまいます。
- ドリンクや食事の機内サービスが提供されない。
- シートピッチ(座席の前後幅)が狭いため、長時間のフライトでは疲れやすい。
これらの理由から、「LCCの利用はやめたほうがいい」と思う方がいるのも事実です。
しかし一方で、機内サービスや座席の快適性を少しだけ妥協することで、格安で海外旅行が楽しめるのはLCCの最大のメリットです。
特に節約志向の方や短時間のフライトであれば、十分満足できる選択肢といえるでしょう。また、安全性については、LCCも一般の航空会社と同じ厳しい基準を満たしているため、安心して利用できます。
LCCは使い方次第で非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となりますので、自分の旅行スタイルに合わせて上手に活用してみてください。